今回はトレミニョンを分析します。
西村ジョッキーの買える騎手感に箔が付いてきた印象。
ここから始まるクラシックロード
トレミニョンのプロフィール
馬名:トレミニョン(牝)(意味:とても可愛い(仏))
父:リアルインパクト
母:トレラピッド(顔見せでエリ女に来たフランスの長距離志向)
母父:Anabaa Blue
生産:社台ファーム
馬主:(有)社台レースホース
調教師: 和田勇介
リアルインパクトなのでそれなりに完成度は高いのだろう。馬も器用なタイプ。
父の影響でマイルまでのイメージが先行するが、それ以上走れるのは良い。牝系にモンズンがあるしそうゆうのも影響してるのだろうか。
小柄な馬だし、あまりPOG人気も無い。ちょっと距離長くない?ってところで今後も穴出してくれそうだ。
7月の福島芝1800m(新馬)でデビューし牝馬クラシック3冠に出走した馬(過去20年)・・・①
この条から牝馬クラシック3冠までたどり着いた馬は9頭
2006 イクスキューズ(桜花賞5着)
2009 ツーデイズノーチス(桜花賞13着)
2010 アパパネ(桜花賞1着)(オークス1着)(秋華賞1着)牝馬3冠馬
2014 マイネグレヴィル(オークス9着)(秋華賞17着)
〃 マジックタイム(オークス13着)
2015 ココロノアイ(桜花賞10着)(オークス7着)(秋華賞14着)
2016 ゲッカコウ(オークス17着)(秋華賞13着)
〃 ジェラシー(オークス4着)
2023 ゴールデンハインド(オークス11着)
なんといってもアパパネを輩出した条件。(ただし、アパパネは新馬戦は負けている)
①の内新馬戦を勝っていた馬(過去20年)
2006 イクスキューズ(桜花賞5着)
2014 マイネグレヴィル(オークス9着)(秋華賞17着)
2016 ゲッカコウ(オークス17着)(秋華賞13着)
新馬戦を勝った馬は3冠では結果が出ていない。
走破タイム評価
当日の馬場傾向
7月2日(日)の福島では芝レースが8鞍が行われた。
当日8鞍の芝レースの決勝タイムと過去5年の平均決勝タイムを比較をしたのが【表1】。
(※過去5年の平均決勝タイム=同時期開催の同クラス同距離平均決勝タイム)
単純に過去の平均と比較すると、トレミニョンは過去の平均値より0.3秒早く走ってたことがわかる。
ただしこの比較には当日の馬場傾向が考慮されていない。
例えば、時計の早い日に過去の平均より早く走っていても価値は低い。
また、同様に時計の掛かる日であれば平均よりも遅くても価値は下がりにくくなる。
タイム計算をする際にはそういった部分を考慮しなければならない。
そこで、当日のタイム計算を正確にするため各レースのタイム差である-0.7秒~0.4秒差を100mあたりのタイム差に再計算する。
(これは各レースのタイム差を統一基準で計算するため。)
再計算した結果が以下の【表2】である。
当日の馬場傾向(【表2】の平均値)
【表2】の平均を出したのが以下の【表3】。
8レースの傾向を平均した結果である-0.01というのが当日の馬場の傾向となる。
タイム計算をする際には、この当日の馬場傾向(100mあたり-0.01秒)を踏まえた上で過去の平均タイムと比較する必要がある。
馬場状態を踏まえた新馬戦の想定決勝タイムは
100mあたり-0.01秒の馬場を計算に入れ再計算された想定決勝タイムが以下の【表4】となる。
計算の結果は1.51.8秒
トレミニョンが走った7月2日(日)の福島芝1800m(新馬戦)ではこの1.51.8秒が、想定される決勝タイムと導き出された。
結論、トレミニョンの新馬戦は早かったのか?遅かったのか?
想定決勝タイムと実際の勝ち時計の差が【表5】となる。
結果、タイム差は-0.2秒
つまり
トレミニョンの勝ち時計は想定されるタイムよりも0.2秒早かった。
トレミニョンの余力
以下の表は簡易的なレース評価の指標となる。
上記の計算の結果、トレミニョンは全体時計でわずかではあるが平均よりも早いタイムで走っていた。
つまり上の指標では①か②に分類される。
トレミニョンの使った上り34.9秒が過去の勝馬の平均よりも早いか遅いかでゴール時点での余力を想定する。
下の【表6】がトレミニョンの上り3ハロンを計算したもの
結果、タイム差は±0.0秒
トレミニョンは想定される上りタイムと同等の決め手を使ってた。
すなわちレース全体をわずかに早い時計で走りつつ、余力は過去の勝馬と同等程度残っていたと想像される。
単純に全体時計が早い分少しではあるが価値の高いレース。(ほぼ平均)
当日中の馬場変化
7月2日(日)の福島の馬場は全レース良馬場。
途中の降雨も無く1日を通してフラットな馬場状態だった。
前日が一日中稍重馬場であったことを考えると、比較的午前中のレースの方が時計は出にくいはずなので、一日の中では条件は良くないほうではあった。
トレミニョンの次走考察
7月の福島芝1800m(新馬)を勝った馬の次走傾向(過去20年)
開催場所
札幌・・・16頭(1.2.1.12)
函館・・・2頭(0.0.2.0)
福島・・・1頭(1.0.0.0)
新潟・・・7頭(1.0.1.5)
東京・・・4頭(0.1.0.3)
中山・・・13頭(3.0.2.8)
条件
1勝・・・12頭(4.1.0.7)
OP・・・14頭(2.1.5.6)
G3・・・17頭(0.1.1.15)
距離
1400m・・・1頭(0.0.1.0)距離短縮
1500m・・・1頭(1.0.0.0)距離短縮
1600m・・・15頭(2.0.0.13)距離短縮
1800m・・・20頭(2.2.3.13)同距離
2000m・・・6頭(1.1.2.2)距離延長
全成績
(6.3.6.28)
勝率・・・14%
複勝率・・35%
関西に行くことはない。重賞では札幌2歳に持っていく馬が多いがあまり通用していない。
また次走マイル戦だと切れ負けているのが印象的。勝った2勝はいずれも中山のマイル。
馬主((有)社台レースホース)の傾向(過去20年)
7月の新馬戦(1600~2000m)で勝ち上がった馬の次走
開催場所
新潟・・・1頭(0.0.0.1)
東京・・・2頭(1.0.0.1)
中山・・・1頭(0.0.0.1)
小倉・・・1頭(0.0.0.1)
条件
1勝・・・2頭(0.0.0.2)
OP・・・1頭(1.0.0.0)
G3・・・2頭(0.0.0.2)
距離
1600m・・・3頭(0.0.0.3)
1800m・・・1頭(1.0.0.0)
2000m・・・1頭(0.0.0.1)
全成績
(1.0.0.4)
勝率・・・20%
複勝率・・20%
余り成績は良くない。
結果を出しているのはソウルスターリングのみ。
調教師(和田勇介)の傾向(過去20年)
7月の新馬戦(1600~2000m)で勝ち上がった馬の次走
開催場所
札幌・・・1頭(0.0.0.1)
条件
OP・・・1頭(0.0.0.1)
距離
1800m・・・1頭(0.0.0.1)
全成績
(0.0.0.1)
勝率・・・0%
複勝率・・0%
目立った成績は無い。若い厩舎でもある。
まとめ
タイム評価:人気しないおいしさ
トレミニョンは想定される勝ち時計に対し、全体時計では0.2秒早く、上り時計では±0秒だった。
及第点と言える内容だ。
何よりも良いのは牝馬でこの時期のこの条件を勝てていること。これは今後のレース選択の幅を大きく広げる。実際この条件からデビューして牝馬クラシック路線に乗った馬は結構いる。
タイムの裏付けもそこそこに、ある程度の持久力はすでに証明されているのでそれなりの距離で使われたときに穴が取れそうではないか。(基本小さなリアルインパクト産駒の牝馬を中距離とかでは買いたくないだろう。)
次走考察:北海道行くか?
過去、同厩舎ではマイネルズーメンという馬が同条件の新馬勝ち後に北海道に渡っている。
結果は惨敗。同条件勝馬の札幌成績も(1.2.1.12)と芳しくない。そんななか再度海を渡らせるかと言われると「ん~?」という感じ。
また社台ファーム生産馬を見ても7月の福島1800を勝った馬が北海道に渡ったことは無い。
となると新潟2歳かアスター賞あたりになるが、福島1800m勝馬と新潟2歳Sは相性が良くない。勝つ可能性が高いのは過去の傾向からしてアスター賞だろう。