今回はエルトンバローズを分析します。
西村ジョッキーに乗り替わり3連勝で重賞制覇。
調教師、ジョッキー共に好調コンビで秋のGI戦線に乗り込めそうだ。
最後の1冠「菊花賞」
エルトンバローズのプロフィール
馬名:エルトンバローズ(牡)(意味:人名+冠名)
父:ディープブリランテ
母:ショウナンカラット(母は未勝利)
母父:ブライアンズタイム
生産:桑田牧場
馬主:猪熊 広次
調教師:杉山 晴紀
ディープブリランテにブライアンズタイムの配合は、レイデオロ世代の大物候補セダブリランテスと同じ配合。
同配合はラジオNIKKEI賞2勝目。
ラジオNIKKEI賞はそうゆう、なんというか重たいレースなんですね。
ラジオNIKKEI賞を勝ち菊花賞で活躍した馬(過去10年)
菊花賞で馬券に絡んだ馬は0頭
菊花賞以外のGIでもその後馬券内に来た馬が全く出ていない出世しない残念レース。
(GⅡ時代の大阪杯をアンビシャスが勝っている例はある。)
ラジオNIKKEI賞を負けたが菊花賞で活躍した馬(過去10年)
該当した馬は次の1頭(別レースで活躍した馬含め)
2018 フィエールマン (菊花賞1着)
過去10年で菊花賞で活躍できたのはディープ産駒としては異質放った存在のフィエールマンのみ。
走破タイム評価
当日の馬場傾向
7月2日(日)の福島では芝レースが8鞍が行われた。
当日8鞍の芝レースの決勝タイムと過去5年の平均決勝タイムを比較をしたのが【表1】。
(※過去5年の平均決勝タイム=同時期開催の同クラス同距離平均決勝タイム)
単純に過去の平均と比較すると、エルトンバローズは過去の平均より0.3秒遅く走ってたことがわかる。
ただしこの比較には当日の馬場傾向が考慮されていない問題がある。
例えば、時計の早い日に過去の平均より早く走っていても価値は低い。
また、同様に時計の掛かる日であれば平均よりも遅くても価値は下がりにくくなる。
タイム計算をする際にはそういった部分を考慮しなければならない。
そこで、当日のタイム計算を正確にするためこの-0.7秒~0.4秒を100mあたりのタイム差に再計算する。
(これは各レースのタイム差を統一基準で計算するため。)
再計算した結果が以下の【表2】である。
当日の馬場傾向(【表2】の平均値)
【表2】の平均を出したのが以下の【表3】。
8レースの傾向を平均した結果である-0.01というのが当日の馬場の傾向となる。
タイム計算をする際には、この当日の馬場傾向を計算に含む必要がある。
馬場状態を踏まえたラジオNIKKEI賞の想定決勝タイムは
100mあたり0.01秒時計が早い馬場を計算に入れた上で再計算された想定決勝タイムが以下の【表4】となる。
計算の結果は1.46.4秒
エルトンバローズが走った7月2日(日)の福島芝1800m(ラジオNIKKEI賞)ではこの1.46.4秒が、想定される決勝タイムと導き出された。
結論、エルトンバローズのラジオNIKKEI賞は早かったのか?遅かったのか?
想定決勝タイムと実際の勝ち時計の差が【表5】となる。
結果、タイム差は+0.5秒
つまり
エルトンバローズの勝ち時計は想定されるタイムよりも0.5秒遅かった。
エルトンバローズの余力
以下の表は簡易的なレース評価の指標となる。
上記の計算の結果、エルトンバローズは全体時計では平均よりも遅いタイムで走っていた。
つまり上の指標では③か④に分類される。
エルトンバローズの使った上り34.9秒が過去の平均よりも早い結果であれば、過去の勝馬よりは多く余力が残っているであろうと想定されるので、次にその計算を行う。
そこでエルトンバローズの上り3ハロンを計算したのが以下の【表6】
結果、タイム差は±0秒
つまり
エルトンバローズの上りタイムは想定される過去平均タイムと同じ。
すなわち過去の勝馬より0.5秒ゆっくり周回したにも関わらず、過去の勝馬と同等の上り脚しか使えなかったことになる。
当日中の馬場変化
7月2日(日)の福島の馬場は全レース良馬場。
途中の降雨も無く1日を通してフラットな馬場状態だった。
前日が一日中稍重馬場であったことを考えると、比較的午前中のレースの方が時計は出にくく、ラジオNIKKEI賞のレース時間は時計の出やすい条件であったはず。
エルトンバローズの次走考察
ラジオNIKKEI賞(たんぱ賞)を勝った馬の次走傾向(過去20年)
開催場所
新潟・・・1頭(0.0.0.1)
東京・・・6頭(0.1.1.4)
中山・・・7頭(3.1.1.2)
中京・・・1頭(0.0.0.1)
京都・・・1頭(0.0.0.1)
阪神・・・3頭(0.1.1.1)
条件
OP・・・1頭(0.0.0.1)
G3・・・4頭(0.1.1.2)
G2・・・13頭(3.2.3.5)
G1・・・1頭(0.0.0.1)
距離
1600m・・・3頭(0.1.0.2)
1800m・・・3頭(0.0.0.3)
2000m・・・3頭(0.1.1.1)
2200m・・・7頭(3.1.1.2)
2400m・・・1頭(0.0.1.0)
2500m・・・1頭(0.0.1.0)
3000m・・・1頭(0.0.0.1)
全成績
(3.3.4.9)
勝率・・・16%
複勝率・・53%
後のGIに繋がる馬は少ないが、次走の世代重賞での好走率は結構高い。
セントライト記念に関して言えば、勝率42.9%複勝率71.4%と高相性だ。
馬主(猪熊広次)の傾向(過去20年)
ラジオNIKKEI賞を勝った馬の次走
同条件で勝ち上がった馬はいませんでした。
また、本レースに出走した所有馬もいませんでした。
調教師(杉山晴紀)の傾向(過去20年)
ラジオNIKKEI賞を勝った馬の次走
同条件で勝ち上がった馬はいませんでした。
ただし、以下2頭が出走経験がありました。
2018 ケイティクレバー(6着)
2020 ベレヌス(9着)
それぞれの次走は以下の通り。
開催場所
新潟・・・1頭(0.1.0.0)
小倉・・・1頭(0.0.1.0)
条件
2勝・・・1頭(0.0.1.0)
3勝・・・1頭(0.1.0.0)
距離
2000m・・・1頭(0.0.1.0)
2200m・・・1頭(0.1.0.0)
全成績
(0.1.1.0)
勝率・・・0%
複勝率・・100%
まとめ
出世しないレースの上に(タイム評価)
エルトンバローズは想定される勝ち時計に対し、全体時計は0.5秒遅く、上り時計は±0秒だった。
3連勝と波に乗ってはいるが、時計的にはさほど目立つものでは無かった。当日の中では比較的タイムは出やすい時間帯だったにも関わらず、と考えると評価はしづらい。
また結果が全てではあるが、実際、3着のレーベンスティールの方が直線の内容的には能力が上の印象を受けた。
まずは菊花賞に向け春のクラシック上位クラスとの力関係だろう。
クラシック戦線は東が優勢(次走考察)
次走はおそらくセントライト記念か神戸新聞杯になるはず。
過去のラジオNIKKEI賞勝馬の傾向を考えればセントライト記念に出走させたいところではあるが、そもそも杉山厩舎は栗東の厩舎だし、今年のクラシック戦線は関東馬の方が層が厚い。(ダービー上位5頭の内4頭が関東馬、皐月賞上位5頭の内3頭が関東馬)
わざわざそんな層の厚い方面に出走させるとは思えない。セントライト記念より力関係が楽になりそうな神戸新聞杯が有力と考える。