今回はワンブランチを分析します。
佐々木ジョッキー大覚醒中。
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ワンブランチのプロフィール
馬名:ワンブランチ(牝)(意味:一つの枝)
父:ハービンジャー
母:ナル(母は未勝利・トゥザビクトリーが出ている一族)
母父:ノヴェリスト
生産:チャンピオンズファーム
馬主:長谷川 千代子
調教師:上原 佑紀
ハービンジャーにノヴェリストという何とも使い勝手の悪そうな配合。
来年も再来年も函館札幌の2600mを走ってそうな感じ。
個人的に上原調教師は、父のバックボーンもあるしちょっと注目の調教師。
7月の函館芝1800m(新馬)を勝って牝馬クラシック3冠で活躍した馬(過去20年)
牝馬クラシック3冠で馬券に絡んだ馬は3頭
2004 ヤマニンシュクル(桜花賞3着)(秋華賞2着)
2007 ローブデコルテ(オークス1着)
2021 ソダシ(桜花賞1着)
※牡馬ではゴールドシップがデビューている条件。
7月の函館芝1800m(新馬)を勝って牝馬クラシック3冠に出走したが結果が出なかった馬(過去20年)
牝馬クラシック3冠で馬券に絡まなかった馬は7頭
2004 ヤマニンシュクル(オークス5着)
2007 ローブデコルテ(桜花賞4着)(秋華賞10着)
2013 ローブティサージュ(桜花賞5着)(オークス9着)(秋華賞11着)
2018 シスターフラッグ(オークス12着)
2019 ウィクトーリア(オークス4着)
2021 ソダシ(オークス8着)(秋華賞10着)
2023 キミノナハマリア(オークス18着)
結果はさておき、多くの馬がGIまでたどり着いているのは立派。この時期の函館1800mを牝馬で勝つのは伊達じゃない。
走破タイム評価
当日の馬場傾向
7月2日(日)の函館では芝レースが7鞍が行われた。
当日7鞍の芝レースの決勝タイムと過去5年の平均決勝タイムを比較をしたのが【表1】。
(※過去5年の平均決勝タイム=同時期開催の同クラス同距離平均決勝タイム)
単純に過去の平均と比較すると、ワンブランチは過去の平均値より2.3秒遅く走ってたことがわかる。
ただしこの比較には当日の馬場傾向が考慮されていない問題がある。
例えば、時計の早い日に過去の平均より早く走っていても価値は低い。
また、同様に時計の掛かる日であれば平均よりも遅くても価値は下がりにくくなる。
タイム計算をする際にはそういった部分を考慮しなければならない。
そこで、当日のタイム計算を正確にするため各レースの0.3秒~2.3秒差を100mあたりのタイム差に再計算する。
(これは各レースのタイム差を統一基準で計算するため。)
再計算した結果が以下の【表2】である。
当日の馬場傾向(【表2】の平均値)
【表2】の平均を出したのが以下の【表3】。
8レースの傾向を平均した結果である+0.08というのが当日の馬場の傾向となる。
タイム計算をする際には、この当日の馬場傾向(100mあたり+0.08秒)を踏まえた上で過去の平均タイムと比較する必要がある。
馬場状態を踏まえた新馬戦の想定決勝タイムは
100mあたり0.08秒時計がかかる馬場を計算に入れ再計算された想定決勝タイムが以下の【表4】となる。
計算の結果は1.52.3秒
ワンブランチが走った7月2日(日)の函館芝1800m(新馬戦)ではこの1.52.3秒が、想定される決勝タイムと導き出された。
結論、ワンブランチの新馬戦は早かったのか?遅かったのか?
想定決勝タイムと実際の勝ち時計の差が【表5】となる。
結果、タイム差は+1.1秒
つまり
ワンブランチの勝ち時計は想定されるタイムよりも1.1秒遅かった。
ワンブランチの余力
以下の表は簡易的なレース評価の指標となる。
上記の計算の結果、ワンブランチは全体時計では平均よりも遅いタイムで走っていた。
つまり上の指標では③か④に分類される。
ワンブランチの使った上り35.1秒が過去の平均よりも早い結果であれば、全体時計は遅くとも過去の勝馬よりは多く余力が残っていると想定できるので、次にその計算を行う。
そこでワンブランチの上り3ハロンを計算したのが以下の【表6】
結果、タイム差は-0.7秒
ワンブランチは想定される上りタイムより早い決め手を使ってた。
すなわちレースがスローだった分もあるが、最後はまだ余力は残っていたと想像される。
課題は、これがもっと道中締まった展開になった時に同様の上りが使えるかどうかである。
当日中の馬場変化
7月2日(日)の函館の馬場は全レース良馬場。
途中の降雨も無く1日を通してフラットな馬場状態だった。
前日の途中から良馬場に回復していたことを考えると、当日はほぼ馬場の影響は受けていない状態であったと考えられる。
ワンブランチの次走考察
7月の函館芝1800m(新馬)を勝った馬の次走傾向(過去20年)
開催場所
札幌・・・30頭(5.4.2.19)
函館・・・4頭(0.2.0.2)
新潟・・・1頭(0.0.1.0)
東京・・・2頭(1.0.0.1)
中山・・・3頭(1.1.0.1)
京都・・・2頭(0.1.0.1)
阪神・・・1頭(0.1.0.0)
小倉・・・1頭(0.0.0.1)
条件
1勝・・・2頭(1.0.0.1)
OP・・・15頭(4.6.0.5)
G3・・・26頭(2.3.3.18)
G2・・・1頭(0.0.0.1)
距離
1200m・・・1頭(0.1.0.0)
1400m・・・1頭(0.1.0.0)
1500m・・・2頭(1.1.0.0)
1600m・・・1頭(0.0.1.0)
1800m・・・35頭(5.5.2.23)
2000m・・・4頭(1.1.0.2)
全成績
(7.9.3.25)
勝率・・・16%
複勝率・・43%
札幌のコスモス賞、札幌2ステークスが王道路線
関東馬では近年芙蓉ステークス(中山2000)に帰る馬も散見される。
距離短縮の馬は複勝率100%
札幌2歳ステークスは勝率9%、複勝率21%
馬主(長谷川千代子)の傾向(過去20年)
7月の新馬戦(1600~2000m)で勝ち上がった馬の次走
同条件で勝ち上がった馬はいませんでした。
調教師(上原佑紀)の傾向(過去20年)
7月の新馬戦(1600~2000m)で勝ち上がった馬の次走
同条件で勝ち上がった馬はいませんでした。
調教師、馬主共に今年度からデビュー。
まとめ
タイム評価:内容はやや疑問
ワンブランチは想定される勝ち時計に対し、全体時計では1.1秒遅く、上り時計では-0.7秒だった。
好条件の勝ち上がりではあるが、正直内容は良くはない。
確かに上り-0.7秒であったため、多少の余力残りではあるが、本レースの場合ほかの馬たちも同様のレベルで上り脚を使っている。
つまり上り脚も特筆するほどのものではなかったことがわかる。
新馬戦のレベルですら突き抜けることができない馬が、次走さらにハイレベルな相手と戦えるだろうか。
次走考察:小さい牝馬なので
わざわざこの条件でデビューさせていることを考えると、まず大目標は札幌2歳ステークスになるのではないか。馬主、調教師共にデビュー間もなくこんなに早く到来した重賞挑戦のチャンスを見過ごすとは思えない。
ここをパスして成長を促すようなら大したもの。いや本当に大したもんだと思う。
前哨戦としてコスモス賞を挟むことも考えられるが、小さい牝馬なので消耗させるのも選択としてはあまりなさそう。こうゆうご時世ですし。
つまり次走は王道でもある札幌2歳なのではないか。